2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520579
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 和幸 Aoyama Gakuin University, 文学部, 教授 (00211904)
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Keywords | 日本史 / 近代史 / 政治学 / 帝国会議 / 貴族院 |
Research Abstract |
本年度の研究は、昨年度に引き続き、貴族院多額納税者議員の互選過程の究明及びその政治活動の実態解明のため、多額納税者議員関係史料の所在調査・収集を中心に以下の通り行った。 まず、岐阜県歴史資料館における多額納税議員松原芳太郎の関係史料を調査収集した。この史料は「松原幸雄家文書」に含まれるものであるが、岐阜県に於ける多額納税者議員の互選過程を究明する為に有用な史料であり、現在その分析検討を進めている。また、広島県呉市入船山記念館の「澤原家寄託文書」を調査し、澤原為綱・俊雄両多額納税者議員の関係史料を収集することが出来た。この史料では、広島県に於ける多額納税者議員互選や多額納税者議員の中央政界に於ける、貴族院と衆議院議員の連携が示されており、また多額納税者議員と有爵議員や勅選議員との政治会派の活動の実態が明らかになると思われる。 また、昨年度から引き続き、国立国会図書館憲政資料室所蔵未刊文書の調査を行い、多額納税者議員と他の貴族院議員との政治的連携などに関わる史料を調査した。さらに、貴族院子爵議員である谷干城の関係史料について、御子孫から調査及び目録作成を許されたので、この史料目録を作成した(『青山史学』27号掲載予定)。この史料群によって、多額納税者議員を多数含む貴族院内政治会派「懇話会」その後身の「土曜会」の政治活動を明らかにすることが出来ると見込まれる。 以上、本年度の研究は、概ね計画通りに進行した。特に多額納税議員と政治会派を同じくする谷干城関係史料の詳細な調査を行い得たのは、本研究にとって大きな成果になると考えられる。次年度以降、研究計画に従い、現在まで収集した史料の分析検討を行うと共に、地方所在多額納税者議員史料の調査・収集を行っていきたいと考えている。
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