2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520579
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 和幸 青山学院大学, 文学部, 教授 (00211904)
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Keywords | 日本史 / 近代史 / 政治学 / 帝国議会 / 貴族院 |
Research Abstract |
本年度の研究は、引き続き、貴族院多額納税者議員の政治活動を解明するため、多額納税者議員関係史料の検討・分析を、以下の通り進めた。 まず、多額納税者議員「鎌田勝太郎関係文書」の調査であるが、史料所蔵先である香川県坂出市の鎌田共済会郷土博物館所蔵の未整理史料について史料整理及び目録作成を行った。本関係文書には、特に互選関係史料、香川県政との関連史料に見るべき物が多い。なお、本関係文書所収の貴族院内政治会派に関する史料や議会内の政治活動に関する史料については、『法律時報』(2010年5・6・10月号)の「史料の窓」欄で史料紹介を行った。 また、本年度まで、多額納税者議員を多数含む貴族院内の会派「懇話会」を率いた貴族院子爵議員の谷干城の関係史料の分析を継続して行ってきたが、その成果を、谷干城の政治思想と政治活動の全体を検討した上、特に貴族院議員時代の活動に注目し『谷干城』(中公新書)にまとめた。これにより貴族院で議論された国家・国民に対する考え方の一端を明らかにした。 さらに、本年度までに各地で調査収集した貴族多額納税者議員の史料及び、国立国会図書館憲政資料室所蔵未刊文書の調査、同法令議会資料室の議会関係史料の分析、検討によって得た知見については、谷干城の思想なども含め来年度の早い時期に、シンポジウムなどによりその成果を口頭発表する機会を設ける予定である。 以上、本年度の研究は、概ね計画通りに進行した。特に、明治期における各地の多額納税者議員の互選関係史料を収集できたことは、選挙実態を解明することにつながると考えられる。なお、「鎌田勝太郎関係文書」の史料整理については、その総量は膨大な数に上るため、今後も継続して史料整理を続ける必要がある。
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