2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本古代における天皇権威の形成・変容と東アジア世界
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19520583
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
堀 裕 Osaka Shoin Women's University, 学芸学部, 准教授 (50310769)
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Keywords | 日本史 / 東洋史 / 宗教学 / 仏教学 |
Research Abstract |
奈良時代から平安時代における天皇権威の形成・変容を、東アジア世界の中に動態的に位置づけるために、次の三点を行った。(1)2007年4月に、モニュメントをテーマとした史学研究会シンポジウム(於京都大学)において、「御願寺と天皇」と題した報告を行い、9月には平安寺院吏研究会(於名古屋市立大学)において、同題名の報告を行った。なお、両報告は、10月に科研の追加認定があったので、直接的経費は発生していないが、参考までに掲げる。その後、資料の整理・検討を深め、報告内容を大幅に補足・修正し、「御願寺と天皇-九.十世紀を中心に-」と題した論文を雑誌『史林』誌上に発表した。内容は、天皇の宗教的権威の源のひとつである九世紀的な「天皇霊」が、十世紀末から十一世紀初頭に変質した点や、その結果日本で「宗廟」と位置付けられていた山陵が、伊勢神宮や石清水八幡宮に席を譲ることになった点を明らかにした。(2)データベースと資料整理の補助員を活用しつつ、中国宋代までの宗廟・山陵・祥瑞に関する史料の収集・分類を精力的に進めた。『冊府元亀』や各種会要をはじめとした類書については、おおよそ終えることができた。一部正史や説話に関する収集も始めた。(3)東大寺大仏の権威と天皇の宗教的権威は相似形を示すと考え、それらを論文にまとめる作業を開始した。あわせて、先行研究の精査と、なお遺漏のあった『平安遺文』や『鎌倉遺文』『大日本古文書』の一部など、補足すべき史料収集を行った。
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Research Products
(1 results)