2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520584
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
原田 正俊 Kansai University, 文学部, 教授 (40278883)
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Keywords | 禅宗 / 日本仏教史 / 仏事法会 / 寺院生活 |
Research Abstract |
今年度は、日本の禅宗寺院における仏事法会や生活規範に関わる基本史料の収集に努めた。まず、東京大学史料編纂所において各地め禅宗寺院文の写真・影写本などを閲覧して、仏事法会や生活規範に関わる史料を収集した。京都五山の南禅寺や相国寺に伝来した仏事法会や生活規範を定めた史料を検討すると、仏事を行う上でその趣旨を示す回向文の内容は、中国におけるこの種の史料とほぼ同文であり、日本への直接的な移入を見ることができる。中国禅宗のこうした取り決めである.清規にならったものであり注目される。しかし、日本独自の展開も伺うことができ、その変容も興味深い。 南禅寺については特別に史料調査の許可をいただき、中世史料の調査を行い撮影した。これまで、活字で知られているものもあるが、現物調査をすることによって、古文書の保管や幕府との関わりも含めて参考となる史料を得た。これらの成果は、禅宗寺院文書の古文書学的研究にも有益である。 また、五山禅宗の本坊以下、塔頭、境内の景観を書き上げた史料も収集して、こうした寺院プランニングが、いかに中国寺院を意識して作られたかがわかり、これについては論文にまとめた。 また、こうした中国仏教の内容や国家の管理体制などが、日本社会にいつ頃どのように影響力を増したかを考察して、これも論文として発表した。 海外調査については、韓国の海印寺を訪れ、実際の朝夕の勤行に参加して実態調査を行った。あわせて禅宗の道場としても知られる松広寺の調査も行った。また、台湾の仏光山でも同様の調査を行い、明代仏教の移入の在り方とその改変について知見を得た。中国においては西域の石窟寺院の壁画調査、寺院遺構の調査を行い、教団組織や基本とされた信仰の様相に関わる史料収集に努めた。
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