2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520584
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
原田 正俊 Kansai University, 文学部, 教授 (40278883)
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Keywords | 日本中世史 / 仏教史 / 死生観 / 能 / 仏事法会 / 談義 |
Research Abstract |
本年度は、中国仏教の日本への影響を葬送儀礼・追善仏事などについて関係史料の収集をはかった。葬送儀礼については、中国よりもたらされた清規の内容を比較検討する作業を進めるとともに、日本に残されている南禅寺聴松院本の「大鑑清規」、龍谷大学蔵「南禅清規」などを引き続き収集・検討した。 これらの成果をもとに、5月には韓国仏教学結集国際学会の招きを受けて「日本中世の禅宗と葬送儀礼」の研究報告を行った。同時に、韓国仏教の儀礼についても現状と史料の所在など調査を行った。これにより、あらためて東アジアのなかでの仏教と葬送儀礼については大きな研究課題であることがわかった。朝鮮半島での事例などもこれから視野に入れて考察していきたい。 さらに、禅宗の日本社会への導入にともない、死生観がどう変化をしていくかについて検討を加えるため関係史料を収集していった。特に、南北朝期には禅宗の影響が顕著となり、これまで十分注目されてきていないが、戦乱のなかでの死に際して浄土教の十念念仏の様が数多く描かれると同時に禅宗の偈頌を唱えたり、禅僧の死をまねた行動が目立つようになっていくことがわかり、これについては論文のなかで取り上げた。 また、日本の中世を通して禅僧が行った談義についての研究を進め、談義がいかに広範に行われたかを明らかにしていった。談義においては中国の古典が盛んに紹介講義されると同時にその背景には数多くの蔵書の集積がありこの実態を明らかにした。談義の影響力は大きく、室町時代の上層武士、公家などの教養の形成にも大きく寄与したことを明らかにした。また、芸能への影響は顕著であり、能への影響のありかたを論じ、これらに関して論文をまとめた。
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