2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境歴史学からみた「森」と「原」「野」に関する研究-日本の古代・中世を中心に
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19520587
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
飯沼 賢司 Beppu University, 文学部, 教授 (20176051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 則子 別府大学, 文学部, 教授 (50299682)
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Keywords | 森 / 野 / 狩 / 野焼き / 牧 / 原 / 野宮 / 野遊び |
Research Abstract |
本年度は飯沼が中心になり,古代中世の古文書を中心に「森」「野」「原」[野地」[狩場」「狩倉」などの語の綱羅的語彙収集を行った。その上で、当初、古代・中世の野の利用の実例として、「相良家文書」に見える熊本県人古の「狩倉」の調査を実施する予定であつだが、調査がむずかしことがわかり、「阿蘇文書」中にある「野晶」に注目し、はじめ熊本市郊外の比定地の調査を実施した。しかし、野畠の調査の方法が見出せず、別のフィールドを考えることにした。試行錯誤の過程で、「阿蘇文書」を調べるうちに、下野狩と呼ばれる中世の狩史料が中世の「野」「森」の利用を考察するのに、最適の史料であることが判明した。そこで、7月から下野狩の調査を実施することにし、現地の踏査、阿蘇神社の文書の調査を行った。この過程で、下野狩の記録で活字化されている『下野狩集説秘録』と呼ばれる近世の記録の調査を進めるうちに、熊本藩主であった細川家の文庫「永青文庫」に『下野狩集説秘録』の元本となった『下野狩日記』上・下(慶長工17年書写)、『下野狩旧記抜書』がわかり、この調査を9月に行い、『下野狩集説秘録』と関係を考察し、中世から近世への下野狩記録化の過程、狩の実像、野焼きと狩りと牧の設定、阿蘇の祭礼との関係、野と森の利用の問題などが見えはじめた。今年5月10日にはその成果の一部を熊本の研究会で発表の予定である。 一方、浅野は、飯沼と連携しながら、都市周辺の「野」「森」の問題に注自し、三代集の和歌に見える「野」と「森」の史料を整理した。調査地としては、奈良の「春日野」、京都の「嵯峨野」「紫野」に焦点を当て、伊勢の斎宮、鴨社の斎王の野宮、斎院と「野」と歌謡の関係に注目し、考察を進めている。
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Research Products
(1 results)