2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520591
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
鳥谷 智文 Matsue National College of Technology, 人文科学科, 准教授 (10280439)
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Keywords | 近世史 / 技術史 |
Research Abstract |
本年度のたたら製鉄史研究については、関係図書を購入し、知識を導入することとともに、積極的にたたら関係史料の調査にあたった。特に、近世後期から明治初期にかけての大阪北陸との鉄流通についての関係図書を収集し、整理をしているところである。 本年度は出雲地域を中心に調査を進めた。島根県立古代出雲歴史博物館(出雲市大社町)所蔵の家嶋家文書については、引き続き目録作成、解読作業を進めている。広瀬藩領のたたら経営者の特徴を抽出することを目標としている。また、入間田部家文書(個人所蔵(雲南市掛合町))の史料調査も実施した。目録作成を進めている。当家も広瀬藩領のたたら経営者であり、近世後期には松江藩領の田部家(雲南市吉田町)との関わりが深く、中規模な鈩の所有者として今後の解明が期待できる。また、絲原家文書(絲原記念館所蔵(仁多郡奥出雲町))、櫻井家文書(個人所蔵(仁多郡奥出雲町))も関連史料を撮影し、解読作業を進めている。 本年度は、島根県立図書館所蔵の「松江藩引継雑款」を利用して明治初期の鉄山経営の特徴について示した。鉄山経営者の鈩・鍛冶屋操業に関わる様々な条件により、販売の主力となる製品が相違していることが明らかになった。すなわち、山間部での経営では割鉄、鋼を中心に販売し、海浜での経営では割鉄とともに銑を主として販売した。また、「往古ヨリ鉄方御用留」(櫻井家文書)の翻刻、「鉄山鐙文小日記」(田儀櫻井家文書)の共同翻刻、「旧記」(田部家文書)の一部翻刻も行った。
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