2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520591
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
鳥谷 智文 Matsue National College of Technology, 人文科学科, 准教授 (10280439)
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Keywords | 近世史 / 近代史 / たたら / 技術史 / 製鉄 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であり、収集した史料及び文献をもとに、近世後期から近代初期にかけての山陰地域におけるたたら製鉄業の展開について、その特徴をまとめた。その成果は、報告書『近世~近代初期山陰地域におけるたたら製鉄史の研究』にまとめた。以下、本研究で得られた成果を記す。 近世後期から明治初年における出雲地域のたたら製鉄業の特徴について、多くの鉄山経営者が、割鉄販売を経営の中心においていることがわかった。特に、田部家、櫻井家、絲原家など山間部に経営の主体をおく大鉄師は、割鉄中心の生産、販売をおこなっている。しかし、海浜の鋲場を経営する田儀櫻井家は、割鉄の販売をしつつ、銑も大量に販売している経営形態をもち、割鉄販売を中心とする山間部で鉄山経営を営んでいる鉄師の特徴と、石見地域における銑販売経営の特徴の両方をもっている可能性を指摘できた。松江藩領では、銑の大量販売を実施する鉄師はごく少数であることもわかった。 田儀櫻井家については、石見国安濃郡志学村冨屋・富久屋からの借り入れがあり、その返却をめぐって「懸合」となっていることが確認でき、詳細な史料を翻刻できた。 山内については、八重滝鈩を例にとり、山内の規模と人々の移動について事例を紹介できた。八重滝鈩山内は、各鈩場、大鍛冶場との人の移動、農村部との人の移動などが確認できた。 鉄製品の流通については、天保6年の近世後期に鳥取藩境港における融通会所の設置により、安来港などに流れていた日野郡の鉄製品が境港へ流れ、安来港の流通量が減少し、衰退していく様子を確認できた。
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[Journal Article]
Author(s)
鳥谷智文
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Journal Title
松江市ふるさと文庫10 松江市史への序章 松江の歴史像を探る 担当部分「廻船の往来と港-松江・安来・美保関」(松江市教育委員会(文化財課)) 2010
Pages: 66-69
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