2007 Fiscal Year Annual Research Report
近世琉球寺院の社会的機能の解明-私寺の分析を中心に-
Project/Area Number |
19520592
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
下郡 剛 Okinawa National College of Technology, 総合科学科, 准教授 (50413886)
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Keywords | 琉球 / 寺院 / 真言宗 / 臨済宗 / 私寺 / 占い / 葬礼仏事 / 社会的機能 |
Research Abstract |
本年度は、久米島の地方文書を中心に調査研究を行った。その結果、久米島上江洲家文書中に含まれている無年号の寺院関係文書の全てについての作成年次を明らかにできた。さらに、上江洲家文書研究で得られた結果と、他の活字化された近世期琉球史料を検討することで、同期の琉球における臨済宗寺院と真言宗寺院の機能の違いが明らかにできた。これらの研究成果の一部については、平成19年11月10日に沖縄で開催された日本道教学会第58回大会において「近世琉球社会における真言宗寺院と占いについて」と題した発表を行った。本発表は日本道教学会発行の学術雑誌『東方宗教』に投稿予定である。 さらに、本年6月22日には立正大学史学会大会において「近世琉球社会における臨済宗寺院と葬礼仏事」と題した発表を行い、昨年度の研究成果の一部を発表する予定となっている。 また、上記研究と並行して行った久米島古文書調査で、これまで学界には紹介されていない、複数の近世文書「勤書」についての知見を得た。「勤書」は地方役人の職歴と業績を中国年号を使用してまとめ、王府に提出したものである。そのため、これを研究することで、近世期に大多数を占める無年号文書の年次比定を行う上で、欠かすことのできない有益な情報を得ることができる。今後、古文書情報提供者との間で連携を取りながら、新出文書について研究・発表する予定である。
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