2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520596
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒田 卓 Tohoku University, 大学院・国際文化研究科, 教授 (70195593)
|
Keywords | 東洋史 / 西アジア史 / イラン近代史 / 社会運動史 / 国際関係史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、20世紀初めにイランで生じた立憲革命とジャンギャリー運動という2つの民衆主体の運動を取り上げ、1.それらの前後に起こった全国運動を、いわば運動の系譜学として考察する、2.それらを従来の政治・事件史視点からのみではなく、社会運動の方法論で読み直すことであり、本年度は上記2の面について、とくにジャンギャリー運動関連文書史料集編纂に向けて基盤整備を行い、同時にペルシア語文献の収集にも力を注ぐことを目的とした。すでに収集していた文書史料の解読の点では、これら2つの運動に関与した革命家へイダル・ハーンの事績にまつわるペルシア語、ロシア語文書を中心に整理・解読作業を進展させるとともに、ジャンギャリー運動前期(1915〜20)に関連するペルシア語文書を解読し、次年度以降に本格的に体系化するためのデータの蓄積を行った。8月末から9月前半の2週間、イランに文書史料、および立憲革命やイラン近代史関係文献の収集を目的に出張を行い、イラン国立文書館・図書館やイラン外務省文書・研究サービスセンターなどの主要な研究拠点において文書史料の調査収集を実施し、加えて近年刊行された多数のペルシア語文献の収集を行ない、研究基盤の整備に務めた。これらの研究活動の成果の一部は、「ヘイダル・ハーンの事績再考」と題する論考に結実し、ペルシア語をはじめロシア語、ドイツ語文書史料の利用によって、従来ヴェールに包まれていた彼と彼をめぐる歴史的文脈を解明することを試みた。また、イランの歴史的展開を実例として、現代のイスラーム主義のありようを探る短い論考も公表した。
|
Research Products
(2 results)