2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520600
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
澁谷 由里 University of Toyama, 人文学部, 准教授 (80283050)
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Keywords | 「満洲国」 / 戦犯 / 「漢奸」 / 張作霖政権 |
Research Abstract |
従来のいわゆる近現代中国「満洲」史研究には、大別して2つの偏りがあった。1つは人民共和国成立を自明のゴールとし、共産・社会主義を是として、それ以外の政治勢力やイデオロギーを軽視してきたことである。もう1つは日本側からみた中国像を重視しすぎ、中国人の同時代感覚に近づいてこなかったことである。本年度はこうした分析反省に基づき、「漢民族の裏切り者」という感情論を含む「漢奸」概念、および国際法規にてらした罪状のみを問い原則として国籍を諭じない「戦犯」概念の検討から研究を着手した。中でも3人の戦犯(王賢、袁慶清、于静遠)の事跡と罪状の解明に的を絞った。彼らの父(王永江、袁金鎧、于冲漢)はいずれも張作霖政権(1916〜28年)の高官であり。清末新政への関与や「満洲国」参加問題を抱え、父子をトータルで捉えれば中華民国(清末を含む)史と「満洲国」史、日中関係史を濃密に連結できるからである。これに「満洲」史不可欠の要素たる中ソ・日ソ関係、人民共和国前半史、「満洲国」成立以前の地域の骨格たる張作霖・学良父子政権の研究を順次加え、単行本として成果を公表した。
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Research Products
(1 results)