2008 Fiscal Year Annual Research Report
17-18世紀インド・グジャラート地方の国際港市社会の変容過程についての研究
Project/Area Number |
19520605
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
長島 弘 University of Nagasaki, 経済学部, 教授 (10145964)
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Keywords | ムガル朝期インド / 英領期インド / グジャラート地方 / スーラト / 港市社会 / 変容過程 / 東インド会社 |
Research Abstract |
本研究の目的は、インドのムガル朝期から英領期にかけての社会の変容過程を、インド西部のグジャラート地方の国際港市スーラトに焦点を当てて解明することにある。平成20年度の研究計画にもとづいて、(1)史料の読解と分析では、前年度に引き続き『ミラートゥル・ハカーイク』所収のイティバル・アリー・ハーンの日記(1718-27)等の読解の試みを継続した。また諸東インド会社とスーラトとの関係について英・蘭史料等に当たって追究し、Haneda Masashi(ed.),Asian Port Cities,1600-1800:Local and Foreign Cultural Interactions,Singapore,2009の"Chapter10.The Factories and Facilities of the East India Companies in Surat:Locations,Building Characteristics and Ownership"として発表した。同研究では、諸東インド会社の商館の所在地や形態、所有関係等に関する従来の諸研究の不十分さを指摘し、諸東インド会社に対するムガル朝当局の対応が、18世紀初頭までに、土地所有関係などの面でかなり柔軟化したこと等を明らかにした。(2)現地調査・研究者との意見交換では、2008年12月にインドのアリーガル・ムスリム大学を訪れ、同大学の研究者と意見交換し、また我が国で入手の困難な雑誌論文等をコピーした。さらにジャイプルおよびスーラトを訪問し、特に後者では市内の関連史跡を調査・再調査し、また市当局作成の今日のスーラト市の詳細な平面図を入手した。これにより18、19世紀の地図との詳細な比較が可能となった。(3)ジャイプルでは、王宮博物館での1730年頃作成のスーラトの地図の再撮影を申請したが、現在までのところ、まだ許可が下りていない。現在、許可の下りるのを待ちつつ、以前に撮影した写真を整理し、公刊に向けて準備中である。(4)長崎との比較は、上述の拙稿でも意識的に行なった。(5)上述の拙稿は中間報告の一部である。なお、港を含むインド洋の「航路」について、『歴史学事典』第15巻に執筆した。
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