2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520614
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
伍 躍 Osaka University of Economics and Law, 教養部, 教授 (60351681)
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Keywords | 東洋史 / 中国史 / 官僚制度 / 売官 / 档案文書 / 科挙制度 |
Research Abstract |
平成21年度においては、以下の研究活動を行った。 一、前近代中国社会における社会移動(social mobility)に対する捐納制度の影響を研究するために、その第一歩である国子監生資格の売買問題を中心に、明清時代で実施した科挙試験、とりわけ郷試合格者名簿の調査収集を行った。郷試合格者の名簿には、その合格者の受験資格、たとえば廩生、附生、監生などが明記されている。ここの監生のほとんどは、国家の規定に従って穀物や金銭などの寄付により得た資格、言い換えれば捐納して入手した国家資格である。それをもとに郷試合格者のなかで監生が占める割合を算出した。資料の調査収集先は、以下のとおりである。 日本国内:国立国会図書館、国立公文書館内閣文庫、京都大学文学部図書館、京都大学人文科学研究所付属漢字情報文献センター、など。 中国:北京大学図書館、中国社会科学院歴史研究所図書館、南京図書館、南京大学図書館、など。 二、上記の史料収集に基づいて明清時代の捐納制度のなかで最も庶民的な部分だったこの国子監生資格捐納の問題を取り上げ、その政策の開始およびその展開、そして制度としての定着について検証し、社会移動に与えた国子監生資格捐納の影響を明らかにするため、明朝初年における国子監生の地位の確立、国子監生資格捐納の始まりおよびその展開を分析して、明代の例監と納貢を研究した。 三、今年度は、当該補助金研究の最終年度にあたり、先に言及した明代の国子監生の捐納問題とは別に、過去二年間の資料調査収集と研究をもとに、捐納と清代官僚の昇進人事との関係、災害救助にかかわる捐納の実施、および国家の捐納制度の実施と商人の関係を研究することにした。 四、本補助金研究によって得た研究成果をもとに、研究書・『中国の捐納制度と社会』を取りまとめた。平成21年11月に、平成22年度日本学術振興会研究成果公開促進費を申請した。
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