2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520623
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
安成 英樹 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (60239770)
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Keywords | 近世史 / フランス / 宮廷 / 絶対王政 / 国制史 / 制度史 |
Research Abstract |
本研究は、絶対王政期フランスにおいて、「権力」と「権威」という不可分の局面を体現する宮廷という場がいかに形成されていたか、その実態を明らかにすることを目的としている。エリアスの古典的研究以来、しばしば王権の統治システムの要の一つとして重要視されてきたにもかかわらず、宮廷という組織の基本構造および機能が実は未解明のままであることに着目し、その構造・諸部局の実態解明、時代による変遷、その果たした機能とその変容などについて総合的な分析を目指した。 研究の最終年度に当たる本年度では、1.宮廷の組織的人的構造の解明(フランス宮廷の詳細な「見取り図」の作成)、2.宮廷の時代的な変化の把握およびその諸様相・特質の析出、3.宮廷内の権威、位階の構造とその諸原理、また宮廷内での各種儀礼のもつ意味の再検討、という3点に焦点を絞り、具体的かつ網羅的な宮廷構造の解明を目指した。また必要な資史料の網羅的収集につとめ、調査のためにパリ近郊の史跡・図書館等を訪れた。宮廷諸部局の配置と変遷については、下位部門になればなるほど解明が困難ではあったが、宮廷全体の概略および人員配置について可能な限り明らかにした。また、そうした宮廷内諸部門での人事配置について、国王がその意に沿う人事を行い得たこと、長期にわたって枢要な地位にある者が国王に寄り添い、結果として宮廷内で大きな権限をふるい得たことなどを検証した。さらに各種の回想録、日記など同時代資料をもとに宮廷での儀礼分析を行い、些末で等閑に付されがちな煩瑣な儀礼においてこそ、国王による絶妙な宮廷統御の手法、その源泉が見いだしうることなどを確認した。
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