2007 Fiscal Year Annual Research Report
合衆国南西部における先住社会の再編過程の歴史的検討
Project/Area Number |
19520625
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 由美子 Nagoya University, 国際言語文化研究科, 准教授 (40362214)
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Keywords | 西洋史 / 社会史 / アメリカ史 / 人種民族関係論 / ボーダーランド |
Research Abstract |
平成19年度の科学研究費による研究実績は以下の通りである。 1)1910〜20年代にかけての合衆国では、<市民>の境界を再画定する動きがみられた。本研究では、1924年の通称インディアン市民権法の事例に即して、<インディアン>という法的地位を付与されてきた集団に対して市民権を付与することが、行政上・法理上さまざまな矛盾に満ちていたことに着目し、同法の歴史的意義を明らかにした。その成果は、第41回日本アメリカ学会年次大会(2007年6月9日於立教大学)において、「シティズンシップとアメリカ先住民-1924年インディアン市民権法を事例として-」と題して口頭発表した。 2)『<インディアン>と<市民>のはざまで-合衆国南西部における先住社会の再編過程』と題した単著を名古屋大学出版会より上梓した。本研究は、合衆国における法的概念としての<インディアン>の生成過程に着目し、その歴史性・政治性を明らかにすることで、<市民>概念の境界や限界を含めて再検討する試みである。具体的には、<インディアン>かつ<市民>という両義的な法的地位におかれていた典型例である20世紀前半のプエブロとナヴァホという二つの先住社会の事例に即して、法的な意味で<インディアン>と同定すること/されることの通時的・共時的な意味を明らかにし、さらに<インディアン>と対置されていた<市民>概念の歴史性・政治性を逆照射した。
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Research Products
(2 results)