2008 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ第三帝国下のユダヤ人との「混血」イメージの変遷に関する研究
Project/Area Number |
19520634
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長田 浩彰 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (40228028)
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Keywords | 混血者 / 混合婚 / 反ユダヤ主義 / ナチ第三帝国 / 人種主義 / ドイツ植民地 / 「黒い恥辱」 / 「ラインラント混血児」 |
Research Abstract |
本年度は、第三帝国下でのドイツ人とユダヤ人の「人種混交」に関する住民意識を調査するために、以下の研究を行った。 1.昨年度購入したマイクロフィルムスキャナを利用し、昨年度に購入したナチ党人種政策局編纂の雑誌Volk und Rasseや、ワイマル期から出されていたArchiv fur Rassen- und Gesellschaftsbiologie、ナチ党員シュトライヒャーが編纂したDer Sturmer、ナチ親衛隊の機関誌Das Schwarze Korpsに加えて、新たに購入したナチ党の写真雑誌Illustrierter Beobachter(1926-45)の記事内容も分析対象に加えた。 2.ユダヤ人イメージを離れて、異人種との「混血」に関するドイツ人のイメージについても探るため、以下二点に関しても、先行研究を調査収集し、それに基づいて資料調査を行った。 a)ドイツが第一次大戦末まで有した海外植民地での、入植者(ドイツ人)と現地住民との人種混交の経験が、どの程度までドイツ人とユダヤ人の人種混交イメージに影響を与えていたのか、に関して、先行研究を収集し、整理・分析を行った。ナチ党内部でも、1940年段階で、ニュルンベルク法(1935)を踏まえた上で、20世紀初頭の植民地での人種混交禁止規定を再現する「植民地血統保護法案」などが作成されていたことがわかった。 b)第一次大戦後の連合軍によるラインラント占領下で、植民地出身の兵士とドイツ人女性との間に生まれた混血児や、こういった占領を白人に対する「黒い恥辱」であるとした世論の高まりについても、先行研究を分析し、資料を収集した。 3.ドイツ連邦共和国ベルリン工科大学反ユダヤ主義研究所を訪れ、Werner Bergmann教授から、「ユダヤ人が儀式のためクリスチャンの子どもを殺害し、その血を使う」という「儀式殺人」迷信に関する研究史についてレビューを受けた。さらに、同研究所と、ケルンのゲルマニア・ユダイカにおいて、この点に関して先行研究を調査した。
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Research Products
(2 results)