2007 Fiscal Year Annual Research Report
第三共和政前半期(1870-1914年)のパリにおける地方出身者と宗教
Project/Area Number |
19520635
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長井 伸仁 The University of Tokushima, 総合科学部, 准教授 (10322190)
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Keywords | 西洋史 / 都市史 / 宗教 / フランス / 近代 / 移民 |
Research Abstract |
本研究は、第三共和政前半期のパリに地方から移住してきた人びとが、宗教や教会とどめような関係にあったのか、その関係が彼らの文化的アイデンティティや政治的アイデンティティにどのように反映されていたのかを検討するものである。 本年度は、まず先行研究の整理をおこない、そのうえで史料の閲覧をはじめた。 本研究のテーマは、都市史と宗教史という二分野の交錯点に位置するものだが、近現代のアランスに関する限り研究の蓄積はきわめて薄い。そのため、各々の分野で広く先行研究を渉猟する必要が生じた。これについては、2年度目以降も継続しておこなう。 史料については、8月中旬から9月上旬にかけて約3週間渡仏し、フランス国立図書館およびパリ司教座文書館で史料調査をおこなった。まず司教区週報を網羅的に閲覧し、関係する情報を収集した。つづいて、司教区内で入移民を担当する部署の文書を閲覧した。さらに、ブルターニュ出身者を取り上げ、彼らが比較的多く居住する教区をいくつか選定して、その教区文書も閲覧した。 現時点では関連史料の一部に目を通したに過ぎないが、地方出身者の言語的特徴は史料のなかでほとんど言及されていない。当時のパリひいてはフランスの言語的・文化的多様性を考えれば、これはやや意外な知見である。今日とは違い、文化的な要素は都市社会のなかではそれほど重要な意味を持たなかったのかもしれない。次年度は、史料の閲覧を続けるなかで、とりわけこの点について考察を深めたい。
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Research Products
(2 results)