2007 Fiscal Year Annual Research Report
東欧の政治・社会変動とディアスポラ社会の相互関係に関する研究-両大戦間期を中心に
Project/Area Number |
19520640
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 明代 Nagoya City University, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (70363950)
|
Keywords | 東欧 / アメリカ合衆国 / ディアスポラ / 両大戦間期 / ハンガリー |
Research Abstract |
本研究では、ディアスポラを故国のナショナルやローカルな諸組織との間で相互的なネットワークによって接合する国外のエスニック・コミュニティと定義し、とりわけネットワークの相互性、重層性、多拠点性に注目する。時代を第一次世界大戦直後から両大戦間期に定め、東欧諸国のなかでもハンガリーとチェコスロヴァキアに焦点をあてて取り組む。初年度である今年度は、第一次世界大戦の敗戦後、1920年のトリアノン講和条約によって領土が分割されたハンガリーにおいて、しだいに活発化する領土修正運動にアメリカ合衆国やその他のディアスポラ社会がどのような影響・支援を与えたのかという点について取り組んだ。カナダでの調査では、1920年代前半のアメリカ合衆国における移民制限法によって渡航先がカナダへと移ったことから、移民者数の増加により移民コミュニティの組織化が進行し、ハンガリーの諸団体とより緊密な関係が形成された過程が明らかになった。アメリカ合衆国での調査では、移民コミュニティによる合衆国政府や世論、国際社会に向けた領土修正運動の展開について、ハンガリーでの調査では、南米とフランスへの入植・移民の過程と各ハンガリー系コミュニティの動向を知ることができた。さらに、この時期、ハンガリー政府が中心となり、世界各地に形成されたディアスポラ社会の組織化を進めるために、「世界のハンガリー人会議」を開催していたが、これが各移民コミュニティのネットワーク化にいかなる影響を与えたのかについては、さらなる分析が必要であり、来年度の課題である。
|