2009 Fiscal Year Annual Research Report
東欧の政治・社会変動とディアスポラ社会の相互関係に関する研究―両大戦間期を中心に
Project/Area Number |
19520640
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 明代 Nagoya City University, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (70363950)
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Keywords | 東欧 / アメリカ合衆国 / ディアスポラ / 両大戦間期 / ハンガリー / 移民 |
Research Abstract |
本研究では、ディアスポラ社会と故国の間で形成されたネットワークの相互性、重層性、多拠点性に注目し、時代を第一次世界大戦直後から両大戦間期に定め、東欧諸国のなかでもハンガリーとチェコ・スロヴァキアに焦点をあてて取り組む。最終年度にあたる今年度は、3つのテーマに取り組んだ。第一に、国民国家とナショナリズムの問題に関して、両大戦間期ハンガリーにおけるトリアノン講和条約の修正運動とディアスポラ社会との関連性を考察した。領土修正運動において「聖イシュトヴァーン王国」のシンボルが有効に作用したディアスポラ社会は、単なる想像の共同体ではなく、故国ハンガリーとの間で政治・経済・文化の分野に渡る密接な関係が形成されていた。第二は、ディアスポラとアメリカのシティズンシップの問題に関して、アメリカ合衆国オハイオ州クリーヴランドの東欧出身ユダヤ系移民が設立したコスモポリタン同盟の活動と衣服産業ストライキを取り上げて考察した。東欧出身事業家エリートはこの同盟を通して文化多元的な統合モデルを示したが、そこから排除された東欧出身の労働者たちはエリートに対抗するシティズンシップの要求を訴えた。階級を分断する社会統合モデルの構想と労働者階級の要求はディアスポラの紐帯と深く関わっていた。第三に、昨年度から引き続き、ナショナル・アイデンティティと移民、ディアスポラ社会との関係性について考察した。19世紀から現在に至るまで、移民の送出、領土分割、政治体制の変化に伴い、ハンガリー国民共同体が形成・拡大する過程を分析し、ハンガリー系ディアスポラ研究の総論として論文にまとめた。これらの論文執筆のために、今年度はハンガリーの国立図書館と文書館で両大戦間期のハンガリー政府の移民政策に関する資料を、アメリカではクリーヴランドの公立図書館と歴史協会においてコスモポリタン同盟と衣服産業ストライキに関する資料を収集した。
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[Journal Article]2009
Author(s)
駒井洋・江成幸編
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Journal Title
『ヨーロッパ・ロシア・アメリカのディアスポラ』、グローバル・ディアスポラ叢書第4巻、所収論文(山本明代)「ハンガリー国民共同体の形成と移民のネットワーク」(明石書店)
Pages: 304(260-274)
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[Journal Article]2009
Author(s)
土屋勝彦編
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Journal Title
『越境する文学』所収論文(山本明代)「国民文学から越境文学ヘーハンガリー文学の軌跡」(水声社)
Pages: 306(169-197)
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[Journal Article]2009
Author(s)
北米エスニシティ研究会編
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Journal Title
『北米の小さな博物館2』所収論文(山本明代)「二つのホームランドの再現-チェコ・スロヴァキア国定博物館・図書館:移民の経験と故国の歴史の共有」(彩流社)
Pages: 285(238-247)
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