2007 Fiscal Year Annual Research Report
17世紀イングランドにおける「宗教的寛容」・「不寛容」の思想と実践の研究
Project/Area Number |
19520643
|
Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
那須 敬 International Christian University, 教養学部, 准教授 (40338281)
|
Keywords | 近世史 / 宗教史 / イギリス / 文化史 |
Research Abstract |
近世イングランドの政治、社会、文化における「宗教的寛容」と「不寛容」の再検討を行うにあたり、今年度の研究活動は主に理論構築と、イギリスにおける史料調査に集中した。 まず、これまでの寛容史研究の成果の評価と、その限界や方法論的問題の点検を行った。考察の成果の一部は、言語論的転回以降のピューリタン史研究に関する論文としてまとめた(査読付学会誌に平成20年度掲載確定)。 史料調査では、書籍・パンフレット類に加えて多くの手稿史料の調査を行った。ロンドンのBritishLibrary、Dr Williams Libraryおよびオクスフォード大学Bodleian Library等において、イングランド議会、ウェストミンスタ神学者会議、スコットランド議会、スコットランド教会、ロンドン市講会に関係する一次史料の閲覧・複写・分析を行った。特にBodleian Libraryにおける、両王国議会・ウェストミンスタ神学者会議間の書簡・請願書類の調査は有益であり、1640年代の「寛容論争」に至る政治的・神学的対立の構造をこれまで以上に明らかにすることができた。また、様々な歴史史料データベースも活用した。これらの研究成果は、次年度の調査活動にも活用させる予定である。 また今年度はイギリスにおける学術交流も充実させることができた。研究調査の中間報告として、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校にて約60分の研究報告を行い、ブレア・ウォーデン教授ほか近世イギリス史研究者との意見交換を行った。
|