2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520647
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
肥後本 芳男 Doshisha University, 言語文化教育研究センター, 教授 (00247793)
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Keywords | 共和主義 / 女流史家 / ジェンダー / 出版文化 / アメリカ革命 / アメリカ史 |
Research Abstract |
平成19年度の前半は、建国初期における社会秩序の変容とジェンダー関係を探るために、基礎文献や史料の収集およびそれらの分析に力点をおいた。その一環として、6月に開催されたアメリカ学会では建国期研究と19世紀史研究を個別の研究領域として扱うのではなく、むしろ連続して捉えることの重要性を指摘する報告を行った。また、夏休暇を利用して、ボストンのマサチューセッツ歴史協会、ハーヴァード大学シュレジンジャー図書館及び北西部ウースターに位置するアメリカ古文書協会において18世紀末から19世紀初めにかけてのアメリカの出版業の状況や女性史家の活動に関して約2週間のリサーチを行った。 帰国後、収集した史料の整理・分析に専念したが、当時の幾人かの女流史家の著作やマイクロフィルムなどは入手可能であるものの、歴史書を含めた書物全体の流通システム、出版プロセス、読者層の変化についてはフィラデルフィアやボストンなどの一部の都市に史料が偏在している傾向もあり、全体的にまだよく分からない点も多い。次年度の課題の一つにしたい。 夏から秋にかけて報告者は、建国初期に重要な歴史書を刊行した著名なマサチューセッツの女性史家マーシー・ウォレンに関する一次史料や二次文献の分析に集中的に取り組んだ。その成果の一部として、ウォレンの『アメリカ革命史』ガ建国期アメリカ文化とジェンダー関係史の中でどのような意味をもっていたのかを論じる研究論文を執筆した。研究成果は共著としてできる限り早期に刊行したいと考えている。マーシー・ウォレンを革命世代の最初の女流史家と位置づけるならば、19世紀初めには多くの白人中産階級の女性たちが歴史の著述家・編集者として台頭してくる。この背景にあると思われる新しい出版文化や読者層の変化について今後研究の射程を広げていく予定である。
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Research Products
(3 results)