2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520649
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 啓爾 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70011765)
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Keywords | 先史学 / 完新世 / 狩猟採集文化 / 縄文文化 / 中石器時代 / 生業 / 集落 / 時代区分 |
Research Abstract |
本研究は日本における本格的な農耕開始に先立つところの完新世の狩猟採集漁労を基本的経済基盤とする縄文文化の世界史的位置づけを考察するために、日本だけでなくアメリカイェール大学、イギリスオクスフォード大学等において文献収集を行い、世界の完新世の狩猟採集漁労文化の概要把握を目指した研究である。収集した文献をもとに世界各地域における道具類、生業、住居、活動様式などの項目について個別的に比較検討を行った。研究を開始してすぐに行き当たった現実は、更新世の旧石器時代と完新世の農耕牧畜開始の間に挟まれる時代の状況が世界の多くの地域で十分解明されておらず、発掘調査例も少ないことである。もっともその中には農耕牧畜が完新世に入ってすぐ開始されたためにそうなった地域もある。このような中にあって、ヨーロッパの中石器時代、東南アジアの中石器時代、朝鮮半島の有文土器文化、ユーラシア寒冷地域の「新石器時代」、民族学の時代に属するがアメリカ北西海岸からカリフォルニアに至る地域などにおいて比較対象にしうる比較的豊かな文化内容が知られている。しかし縄文文化に匹敵するほどの資料の蓄積がある地域はなく、また文化内容についても研究者ごとに理解や解釈の違いが多いため、単純機械的な比較は困難で、私自身が主体的に判断すべき問題が多いことに苦慮した。研究期間内にある程度の結論が出て論文としてまとめることができたのはヨーロッパが中心で、東南アジアについては自身の既発表の論文があるが、他の地域については不十分な点が残るため、研究期間内に収集した多くの基本的文献によって、今後の研究を継続する。
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Research Products
(2 results)