2008 Fiscal Year Annual Research Report
弥生時代集落の広さと居住人口復元に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19520654
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 淳史 Kyoto University, 文化財総合研究センター, 助教 (70252400)
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Keywords | 考古学 / 弥生時代 / 遺跡位置情報 / 集落研究 / 集落面積 / 人口復元 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度からの継続として、西日本における弥生時代遺跡について、位置情報(遺跡地中心の国土座標や標高の取得など)の悉皆的な収集をおこなうとともに、各遺跡について調査履歴とその内容を精査して、立地や範囲、性格や存続時期の確認を進め、研究の基礎資料を確保する作業を進めた。とくに本年度は、兵庫県北部〜若狭湾沿岸の近畿北部地域の弥生時代前期遺跡に重点を置きながら作業をおこない、データベースとしての整備をはかり、あわせて土器編年上の細別時期毎に電子地図上で表示して分布状況を変遷を検討する試行作業もおこなった。結果として、縄文晩期末の突帯文土器が同一遺跡内で出土している事例も多い近畿内陸部とは異なり、突帯文土器、弥生前期遠賀川式土器のそれぞれが単純出土する傾向がきわめて強いことが判明した。当該土器の製作集団の活動領域や交流のあり方に地方差が存在することを示唆する成果と考えている。またこの作業の過程で、日本海岸最東端の遠賀川式土器単純資料である小浜市丸山河床遺跡出土資料については、重要でありながら大半が未報告であったことから、実見のうえ資料化作業をおこない、報告の刊行準備をあわせてすすめた。 集落の広さや居住人口の復元といった側面については、本年度は手法の吟味が不足し、シミュレーションの本格的な実施までには至らなかった。ただし、上述したように、対象空間や時間幅を絞って遺跡詳細な検討を進めるなかで、集団の活動領域や性格をうかがわせる成果を得られたことは、今後の実施に向けての背景情報を充実させる重要な意義をもつものと考えている。
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