2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520658
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
小澤 正人 Seijo University, 社会イノベーション学部, 教授 (00257205)
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Keywords | 中国古代史 / 春秋時代 / 墓葬 / 青銅礼器 |
Research Abstract |
本年度は西周時代末から春秋時代初期の諸侯クラスの墓葬のありかたを、主に青銅礼器を対象として検討を行った。 その結果、この時期の副葬青銅礼器は、調理・盥洗・供献といった3つの行為に対応した構成をとっていた。このことは青銅礼器が単なる食物を入れる容器としてではなく、それを使った祭祀に基づき副葬していたことを意味しており、さらに構成が基本的には各地の墓葬で共通していたことから、その祭祀が各地で共有されていたことが考えられる。 青銅礼器は副葬のためにのみ存在した器物ではなく、現実世界において祭祀に使われた道具であった。従って副葬された青銅礼器から想定される祭祀は、現実世界においても行われていたと考えられる。言い換えれば、現実世界で行われていた祭祀に使われていた青銅礼器の器種が、そのまま副葬されたのである。従って、異なった諸侯国で造営された墓葬にも関わらず、副葬された青銅礼器の構成を同じにしていたことは、各国が現実世界においても祭祀を共通としていたことを意味している。言い換えるならば、現実において祭祀を共通としていたからこそ、各国は同じ構成の青銅礼器を副葬したのである。 この現象は単なる文化史的な脈絡のみで取られることはできない。西周王朝は、自らの支配体制を継続させるために、諸侯に祖先祭祀を強要し、その祭器として青銅礼器を配布したという説があり、これに従うならば、上記の現象、周王朝の支配下にあったことを反映したものになる。このような副葬青銅礼器が、春秋中期以降どう変化するかを検討するのが、次年度の課題である。
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