2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520660
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 龍三郎 Waseda University, 文学学術院, 教授 (80163301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井出 浩正 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (20434235)
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Keywords | パプア・ニューギニア / 民族誌調査 / 部族社会 / 婚姻 / 土器型式 / 地理的空間分布 / 母系制社会 / 戸ノ内貝塚 |
Research Abstract |
縄文時代の土器型式が、なぜ一定期間特定の地域に継承され、また一定の地理的空間的分布を形成するのかについて、従来は部族社会を背景にした理由付けや、女性の婚姻を巡る移動などを前提に考えてきた。しかし、それらはあくまでも仮説であって、それを証明するには実証的な研究が必要である。そこで、2007年(8月11日〜8月25日)、2008年(8月9日〜8月23日)の2年間に亘って、パプア・ニューギニア、ミルンベイ州、イーストケープ、トパ村に滞在しながら、女性が家庭的土器生産を行い、親族組織や婚姻が基盤をなす社会において、土器生産に関する民族誌調査を実施した。トパ村の多数の集落をめぐり、土器の種類や製作者を記録し、伝承される技術的系譜関係を知るために家系図や婚姻関係を調査した。その結果、母から娘、孫娘へと継承される伝統技術があり、母系制社会における技術の伝承のあり方を知ることができた。またそれらが一定の地理的空間に拡散する理由として、トーテムに根ざした婚姻関係や氏族関係、婚後居住形態のあり方が重要な要素になることが推測された。 一方、千葉県印旛郡印旛村に所在する戸ノ内貝塚を発掘調査し、安行2式、3a式、3b式の文様構成と地域の関係や、地理空間的な分布状況について大まかではあるが把握する事ができそうである。両者を比較してみると、型式の分布と内部に細分化できる型式のまとまりがあり、それらが異なる地理的分布を成すらしいことが理解される。パプア・ニューギニアの民族誌では、そのような細別型式と分布の関係は、生産に係わった人々の保有する技術的な差異と伝統の継承、製作者である女性の移動、特に婚後居住のあり方と関係するらしいことがわかってきた。これらの成果について論文や学会で発表した。
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