2007 Fiscal Year Annual Research Report
東部インドネシアに残る巨石記念物の民族学的調査研究
Project/Area Number |
19520661
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
江上 幹幸 Okinawa International University, 総合文化学部, 教授 (30320518)
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Keywords | 巨石文化 / 巨石記念物 / 海明け儀礼 / 東部インドネシア / フローレス島 / レンバタ島 / ラマレラ島 / 慣習広場 |
Research Abstract |
今年度は以下の調査を実施した。 (1)レンバタ島ラマレラ村における海開け儀式と巨石記念物との関連性。 (2)山の民であるラママヌ村での巨石記念物(Nuba Nara)の調査を実施。 (3)レンバタ島ラマレラ村に残る巨石文化の痕跡を調査。 (4)レンバタ島イレアペ郡レウォハラ村ジョントナ集落に残る慣習家屋と慣習広場の現状調査。 (5)フローレス島東フローレス県ララントゥカ郡レオタラ村の慣習家屋と慣習広場、立石などの巨石文化の保存状態を調査。 今回はレンバタ島、東部フローレス島に残存する慣習家屋を残す集落を訪ね、慣習広場とそれに伴う巨石記念物がどのような状況で残存するかを調査の主眼とレた。レンバタ島ラマレラ村では巨石記念物はほとんどが消滅しているが、残存する巨石記念物(Lefo Nuba)は海明け儀礼などで重要な役割を担っている。村を取り囲む城壁の一部が今も残存し、インフォーマントとの聞き取り調査でかろうじて概念図が復元できるまでに調査が進んだ。 山の民であるラママヌ村での巨石記念物(Nuba Nara)の調査を実施し、農耕儀礼の一環として巨石記念物が現在も使用されていることが明らかとなった。立石は焼畑の畑の中に現存し、インフォーマントの話しによれば、焼畑開始時にシリ・ピナン(ビンロウジ)をこれに供え、ヤギ二頭以上を殺し、血を立石にかけ、豊饒を祈り、皆で会食をする儀式を行うという。 同島のジョントナ村とフローレス島のレオタラ村は慣習家屋を中心とする集落が観光化され、保存がなされているが、外国人のツーリストとの金銭的なトラブルが多々発生し、最近はほとんど訪れる人もいないとのことである。両村の巨石記念物をもつ慣習広場の測量、および実測調査などは今まで行われていない。今回、レオタラ村の慣習広場については一部写真実測を試みた。 今回の調査行程はインドネシアの国内線の運行状況がきわめてずさんであり、スケジュール調整が困難であったため、予定していた地域を若干変更した。
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