2008 Fiscal Year Annual Research Report
東部インドネシアに残る巨石記念物の民族学的調査研究
Project/Area Number |
19520661
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
江上 幹幸 Okinawa International University, 総合文化学部, 教授 (30320518)
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Keywords | 民族考古学 / 東インドネシア / 石積基壇遺構 / 東ヌサトゥンガラ州 / ティモール島 / 生きている巨石記念物 / 巨石文化 / メンヒル |
Research Abstract |
1.今年度重点的調査はティモール島ラマクネン郡ローヌナ村の巨石記念物とそれを使用して実施される儀礼の記録作業。 (1)ローヌナ村での石積基壇遺構Sadan(ブナ語のMakuron makes)の実測及びこの遺跡が生きている巨石記念物として活用される儀礼に参加し写真、ビデオでの記録:遺跡は4段の石積基壇遺構であり、ラマクネン地方にある他の石積基壇遺構とは形態を異にする。150m×100mの台地上に一基の石積基壇遺構(Mot')と祭壇bosok(22基)、首置きの石(1基)、船型の先祖の墓(1基)があり石積基壇遺構の周囲にはかつては慣習家屋が建ち並んでいたという。石積基壇遺構はピラミッド状を呈し(高さ4m×東西20m×南北18m)、頂上部には祭祀を行う広場がある。頂上部の広場には祭壇、祖霊像(aitos)、メンヒル、不慮の事故死の墓などがある。 2.マクローン マケス遺跡での生きた巨石記念物の民族学的調査 (1)ホルゴガワの儀式:この儀式は氏族の中で誰かが遠くに出かけるときに行われる旅立ちの儀礼。氏族の慣習家屋あるいは氏族が所有するbosok(半径約80cmの石積の祭壇)で実施される。今回はマレーシアに出稼ぎに行く若者のために執り行われた。聞き取り調査、写真、ビデオ撮影。 (2)ブラフォンの儀式:ブラフォン(Bura hoon)とは氏族の祖霊に対して、供犠をする儀式。(Mot')の頂上部の広場にある祭壇で儀式は執り行われた。今回の儀式の目的は財宝確認のための儀礼の報告、および村の年間行事の報告、私たちが実施する調査のための入村許可のためである。聞き取り調査、写真、ビデオ撮影。 3.ラマクネン地方の他の集落の調査。 DIRUN, NUALAIN, DUARATO集落で巨石記念物が残存し現在も生きた巨石記念物として祭祀に使用されていることを確認。写真撮影。 4.フローレス島エンデ県リオ地方のWagapora村とその周辺地域の伝統家屋である慣習家屋とそれに伴う巨石記念物の残存状況について 1989年以来の再訪であったが、予期した以上に慣習家屋と巨石記念物は残存していた。今回は時間的な制約もあり、現状の写真撮影と聞き取りのみの調査となる。
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