2009 Fiscal Year Annual Research Report
東部インドネシアに残る巨石記念物の民族学的調査研究
Project/Area Number |
19520661
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
江上 幹幸 Okinawa International University, 総合文化学部, 教授 (30320518)
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Keywords | 民族考古学 / 東インドネシア / 石積基壇遺構 / ドルメン / ティモール島 / 生きている巨石記念物 / 巨石文化 / 製塩 |
Research Abstract |
(1)今年度の重点的調査はティモール島ラマクネン郡ローヌナ村の巨石記念物の実測とGPSによる地形測量。 今回も昨年に引き続き、ラマクネン地方の公主国の王族協力のもと、調査が実施可能となった。 (1)ローヌナ村でのsadan(ブナ語のmakuron makes)の実測およびGPSによるこの遺跡が生きている巨石記念物として活用される儀礼に参加し、写真、ビデオでの記録・・・マックローン・マケス遺跡は4段の石積基壇遺構であり、ラマクネン地方にある他の石積基壇遺構(sadanあるいはmakuron makes)とは形態を異にする。150m×100mの台地上に一基の石積基壇遺構とbosokと呼ばれる祭壇(22基)、首置きの石(1基)、船型の先祖の墓(1基)がある。昨年の継続調査である。Mot'と呼ばれる石積基壇遺構と先祖の墓の実測。GPSで150m×100mの台地上にある巨石記念物(石積基壇遺構、祭壇、墓など)の配置図を作成。 (2)ラマクネン地方の他の集落の調査・・・ドゥアラト集落では昨年建築中であった慣習家屋の確認調査。ヌアライン集落は今年(2001年)7月、放火により慣習家屋13軒が焼失したことでの状況確認調査。世界的にも重要な文化遺産が放火という手段で焼失したことは非常に残念なことであった。昨年撮影したヌアライン集落の全写真を記録用に村へ寄贈。 (3)ディルン村のMAKES、ラシオラット郡ラフルス村ファトゥベシ遺跡調査の調査。・・・集落で巨石記念物が残存し、現在も生きた巨石記念物として、祭祀に使用されていることを確認。入村、入遺跡儀礼の実施。記録を残す。 (2)東ティモール民主共和国内での巨石記念物の分布確認調査 今同はブナ族が居住するといわれているエルメラ町とアイレウ町を訪問したが、巨石記念物は確認できなかった。 (3)伝統的製塩法による製塩村の調査 (1)西ティモール、ハダケワ製塩村調査・東ティモール民主共和国ウルメラ村製塩村調査 昨年の継続調査であり、緘砂装置および製塩小屋の実測、聞き取り調査。GPSによる製塩村概念図の作成 (4)伝統的捕鯨村の文化変容に関する調査 レンバタ島ラマレラ村の捕鯨文化の文化変容についての調査。今年度は村での漁法の変化が著しく、伝統捕鯨が 今後継続していくかどうかの局面に立たされた年であった。 *調査はまだ未完であり、継続調査が必至である。
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