2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520670
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 修 The University of Tokyo, 空間情報科学研究センター, 特任教授 (80401305)
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Keywords | 地理情報システム / 都市計画 / 社会学 / 市民参加 / 空間認知 |
Research Abstract |
インターネットの普及に合わせ、地理情報システム(GIS)のアプリケーションもWebGISとして普及し、一般市民も利用することが可能になってきた。一方、このような環境が整ってきたにもかかわらず、市民が身近に利用するアプリケーションは、インターネットによる地図検索とカーナビゲーションの域を出ない。 本来GISは、地域の情報を蓄積し、さまざまな地域の課題解決に利用できる筈であるが、市民が、GISを利用して行うためには、意識や教材や環境など、さまざまな課題があると想像できる。そこで、本研究では、一般市民がGISを利用することが考えられる身近なテーマとして、地域を対象に活動している市民参加型活動を対象とした。 市民参加型活動にも多様な活動が存在しているが、例えば安心安全をテーマとした活動を例にとると、すでに地域安全マップつくりという活動が全国的な運動として展開されているところである。しかし、この運動は、必ずしもGISの利用を想定しておらず、手書きの紙地図作成が中心である。この原因として、上記に述べたように、意識や教材や環境が整っていないためであることは否めないが、GISという言葉を知らないといった段階であるためであろう。 そこで本年度は、まず既にGISを利用した試みを行っている各地の市民団体に対し、GISに関する人員配置がどのようになっているか、その人員の役割等をヒアリングした。その結果、まず、既存文献を参考に、市民参加活動組織の内部を役割に合わせて整理したところ、(1)活動のコアとなっている層、(2)具体的活動を行っている層、(3)呼びかけに応じて参加している関心層、(4)その他の無関心層に分けられることがわかった。さらに、このような層によって、求められるGISの使い方や機能が異なり、整理することができることがわかった。 今後は、このような整理に基づき、教材を上記の(1)〜(4)のニーズに合わせたものを作成することができる。特に、GISに関する専門的なトレーニングが必要な人材は、(2)の活動層であり、(3)の関心層は、特別なトレーニングを必要としないで利用できるように考えるべきである。また、(1)のコア層は、大学・研究機関を含めたGISネットワークの構築が重要である。中でも最も重要な点は、活動の中心であるコア層におけるGISの理解である。従って、H20年度より、コア層が関心を持つ内容のカリキュラムから、試作し内容の具体化を図る予定である。
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