2008 Fiscal Year Annual Research Report
ITサービス業の集積に関するインドと中国との比較研究
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19520676
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
北川 博史 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (20270994)
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Keywords | インド / ITサービス業 / BPO / ITES |
Research Abstract |
本年度は,近年,経済成長の著しいインドにおけるITサービス業の地域的展開とそれにともなって形成される産業積地域の実態を解明することを目的とした。その際,第1にITサービス業の地域的な展開過程と集積の実態を,BPO部門の地域展開にとくに注目して明らかにし,第2に,産業集積地域内における企業構成,人的資源の蓄積過程,BPO部門の地域的な動態の三つの側面から,産業集積の特徴を明確化したいと考えた。とくに,本年度は,引き続き資料収集に努めるとともに,収集した資料に基づき,インドにおけるBPO部門の地域的な発展過程に関しての分析を行い,インドにおけるITサービス業の構造変化についてまとめた。 分析の結果,北川(2008)において論じたように,以下の点について明らかとなった。すなわち,インドITサービス業は当初,オンサイト方式によるアメリカ合衆国への人材派遣という形態により存立していたが,企業環境の変化や情報通信技術の発展により,インド国内において業務を行うオフショア方式へと転換していった。こうしたオフショア方式は新たなITサービスの勃興に寄与し,ITES-BPOなどのITを活用した関連サービスの輸出という新分野の開拓へとつながっている。インドにおける新たに発展してきたITサービス業は輸出指向型産業としての性格を今まで以上に強化し,インドはITサービスを提供する世界的な中心地としての存在を確固たるものとしている。そうしたITサービス業の急成長を支えたのは優秀かつ豊富な人的資源の存在であったといえる。インドのITサービス業は,これまでの成長を支えてきたソフトウェアサービスの輸出を軸としながらも,その一方で広範なITサービスを展開し,構造変化を伴いつつさらなる発展を遂げるものと期待される。
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