2007 Fiscal Year Annual Research Report
北欧における持続的発展へむけた地域政策による地域構造の変動と政策評価に関する研究
Project/Area Number |
19520680
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 潤 Kyushu University, 大学院・比較社会文化研究院, 准教授 (90284562)
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Keywords | 持続可能性 / 地域政策 / 分散化政策 / 地域構造 / 環境負荷 / 気候変動枠組み条約 / 温室効果ガス / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
研究では、持続的発展をめざした各種の地域政策が実施されている欧州諸国を対象に、従来の研究であまり取り上げられなかった地域政策による地域構造の変動を明らかにするとともに、この変動をもとに地域政策を評価することを研究目的とした。平成19年度はスウェーデンを対象地域とした総合計画による変化を中心に調査した。すなわちストックホルム県と、ヘルシンボリ市を中心とするスコーネ県で現地調査を実施し、住宅地や業務中心地の就業者数や各地点間の交通流動量の変化を定量的に把握した。さらにGISを用いてこれらのデータを解析するため、これらデータと並行して、GISの基礎データも収集した。 ストックホルム県を対象とした研究成果の一部を学会で発表するとともに刊行している。すなわち地域政策として、ストックホルム県が2001年に策定した総合計画を対象とし、そのなかで示されたストックホルム市からその周辺の6市町村への都市機能の分散化政策による地域構造の変化と、構造変化に伴う環境負荷軽減への影響を、通勤流動量を用いて吟味した。分析結果から、地域政策を実施した2001年以降、ストックホルム市の周辺6市町村への機能分散が進展していることを明らかにした。さらに分散化の結果、ストックホルム市への流入が顕著であった通勤流動量が、2001-2004年の間で周辺6市町村へ流入することにより、総輸送量が減少する一方で、同期間に、輸送部門のCO2排出量も減少したことから、地域構造の変化による環境負荷の軽減効果も明らかにした。以上から、地域政・策による地域構造の変動を明らかにするとともに、地域政策による環境負荷軽減への影響を評価できたといえる。このように、従来の研究で示されなかった、地域政策による地域構造の変化とそれによる環境負荷への影響を実証的に明らかにしたという点で本研究の学術的な意義があるといえる。
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