2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国地誌の回顧とフィールド調査に基づく記述の実践による地誌学再考
Project/Area Number |
19520684
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小島 泰雄 Kobe City University of Foreign Studies, 外国学研究所, 教授 (80234764)
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Keywords | 人文地理学 / 地誌 / 中国 / フィールド調査 / 近代日本 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
中国地誌の実践を主たる目的として本研究課題は進められている。第3年度にあたる本年度は、フィールド調査に加えて、地誌を書くことについての歴史的な考察が進められた。 まず地誌を書く前提であるフィールド調査は、2009年9月1日から13日まで華北中原の河南省で、2010年2月28日から3月10日まで長江中流の湖南で、それぞれ行われた。河南においては1990年代半ばに行ったフィールド調査との比較の視点から、登封農村と都市鄭州において、地域変化とその要因に着目した資料収集が行われた。湖南においては、近代になって人材を排出する背景となった文化的な地域性を軸とした資料収集が行われた。また、過年度に収集された資料も用いて、個別の各論であり、かつ総体として中国を書く一環でもある論文が発表された。 つぎに地誌がいかに書かれてきたかについて、明治から昭和前期にかけての中国地誌を素材として、執筆主体と対象としての中国および目的としての日本という3者の関係性の変化をめぐって考察が進められ、地誌を書く主体が時代を越えて意識すべき状況が明らかとなった。成果は日本地理学会大会において研究発表として公表され、かつ論文としてまとめられている。 そして一般社会への還元に関しては、インターネットHPの構築については環境整備を待つ状況であるが、地理教育の種々のチャンネルを通して着実に推進されている。
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