2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国地誌の回顧とフィールド調査に基づく記述の実践による地誌学再考
Project/Area Number |
19520684
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小島 泰雄 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 教授 (80234764)
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Keywords | 人文地理学 / 地誌 / 中国 / フィールド調査 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究課題は、中国地誌が何を書いてきたのかに関わる研究史的な展望に基づいて、中国地誌を書くという実践を行い、これらの研究過程において地誌の可能性を再考・提示することを目的としたものである。四年次にわたる本研究課題の最終年度にあたる本年度には、いくつかの総括的な執筆活動を行った。一つは高等学校地理教科書における中国地誌部分の執筆であり、まもなく文部科学省の検定に付されることとなっている。また一般書である中国地誌と、中国西北部に関する地誌的研究書に分担執筆者として参加しており、ともにまもなく刊行されることとなっている。こうした研究成果の公表によって、地誌の可能性について現在的な意義の確認が進んだ。また本研究課題の特色をなす地誌作成のためのフィールド調査にも積極的に取り組んだ。まず2010年9月9日から同19日までの11日間にわたって、中国四川において、人口移動、文化伝統、歴史都市にかかわる調査を行った。さらに2011年2月28日から同3月11日までの12日間にわたって、中国雲南及び貴州において、少数民族地域における文化接触と都市構造にかかわる調査を行った。本研究課題において、あわせて7カ所のフィールド調査を実施したことは特記すべき点であり、これらのフィールド調査に基づいて執筆を進めている地誌的記述については、統合して論文集あるいは書籍として公表してゆく予定である。その際には、期間中に公表に至らなかった英語圏地理学における地誌学の再考についてもあわせ言及することになる。また一般社会への研究成果の還元として、高校地理教員への地誌教育に関わる講演会を5月と11月にそれぞれ佐賀県と福井県において実施した。
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