2008 Fiscal Year Annual Research Report
東亜同文書院生の記録からみた20世紀前半期満州における居住日本人の分布と変動
Project/Area Number |
19520686
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
藤田 佳久 Aichi University, 文学部, 教授 (70068823)
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Keywords | 東亜同文書院大学 / 満州 / 満鉄 / 満蒙開拓団 / 満鉄付属地 / 満州農業 / 日本企業 |
Research Abstract |
1.満州における日本人の進出、居住は日露戦争以降のことで、その推進役には満鉄による鉄道の伸延と沿線に設けた付属地が安全な地区として日本人のみならず漢人たちの入植地にもなった。漢人は山東省出身者が多く、出稼ぎ労働力として入満していた。 2.日本人の入植の始まりは20世紀に入ってから南満州でみられたが必ずしもうまくいかず、大倉組の農場にみられるような大きな組織によるもののみが存続した。東亜同文書院生は、気候風土が違うため、日本農民の入植は無理だと報告している。 3.満州国成立直後の2年間は東亜同文書院生の中国本土へのビザは発行されず、そのため、満州地域だけの調査となり、県単位の報告書がつくられた。それによると、日本人は日本資本の公司が羊毛など原材料産地に拠点を設けて進出したほか、奉天などの都市へも商工業者として流入が始まったことがわかる。 4.その後、日本人100万人移住計画がすすめられ、満蒙開拓が急ピッチですすめられ北満の人口稀有地帯に進出した。それに応じ、それら農村の中心地にじゃ日本人商人が進出した。折からの満州国は新たな国づくりのベースに都市計画をすすめ、それらに従事する日本人の中には書院卒業生もみられた。その結果、都市部の商工業や行政にたずさわる日本人と、農地開発にたずさわる日本人が都市と農村に分離する形で居住するようになり、この点にも日本人居住の特性がわかる。
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Research Products
(4 results)