2007 Fiscal Year Annual Research Report
インドネツアにおける宗教が提議する現代社会批判の文化人類学再討
Project/Area Number |
19520697
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
永渕 康之 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 教授 (30208045)
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Keywords | 宗教 / ヒンドゥー教 / インドネシア共和国 / 現代社会批判 / 移民社会 / 改宗 / 歴史性 / 民族性 |
Research Abstract |
本研究の最大の目的は,宗教が提議する現代社会批判の内実を明らかにし,とのよな具体的な社会の再編成をそれが提示しているかを再検討することである。特に多数派であるイスラームではなく,ヒンドゥーにおける近年の蓮動を基点として比較研究を行うことが本研究の大きな特色である。ヒンドゥーはインドネシアの宗教のなかで最も保守的とみなされてきたのであり,そのヒンドゥーの内部にさえ現代社会への危機意識をともなう批判が出現レているのである。 本年度は批判勢力が特に大きなカを持つ,インドネシア共和国,スマトラ島の最南部ランプン州において,2008年2月12日から3月15日にかけて実施調査をおこなった。この州はヒンドゥー教徒の移民が集まり,バリ州に続いて最も大きなヒンドゥー教徒の数を統計上示している。しかも民族性において,バリ人ばかりでなくジャワ人のヒンドゥー教徒も存在している。移民社会という特性と多様な民族がヒンドゥーに属しているという事実が,保守的な考え方にたいする批判を強めていることを実施調査において実感した。 実際の調査項目は以下の通りである。(1)制度:ヒンドゥー教徒の組織とバリのヒンドゥーとの差異。(2)歴史:移民は1950年代に始まるが,どのように移民が行われ,どのように現在まで変化してきたか。(3)改宗:なぜジャワ人はランプン州において,イスラームからヒンドゥーに改宗したのか。これはこの社会の特徴として,とくに調査に力点をおいた。(4)批判:バリ人とジャワ人が同じヒンドゥー教の制度にはいることによって,全体として,現代社会にどのような意識や見解を持っているのか。
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