2010 Fiscal Year Annual Research Report
<結果志向><過程志向>を再考する-言語・認知・文化的構築物の相同性を求めて
Project/Area Number |
19529004
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
八木橋 宏勇 杏林大学, 外国語学部, 講師 (40453526)
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Keywords | 結果志向 / 過程志向 / 言語 / 認知 / 文化的構築物 / 相同性 / 主観的把握 / アスペクト |
Research Abstract |
本研究は、「言語構造の様々なレベル(形態素、語彙、構文、談話)間の相同性」「言語と言語以外の文化的構築物との相同性」に着目し、池上(1980)以降主に語彙レベルで議論されてきた「英語は結果を重視」し「日本語は過程を重視」するという傾向を認知言語学的に分析することを目的としている。平成23年度は、前年度のテーマ「一見すると英語と日本語それぞれの志向性を逸脱するような例」に継続的に取り組むとともに、「言語の志向性と好まれる視点」という観点からも研究を行った。具体的な成果は以下の通りである。 1.言語の志向性の説明として、「主観的把握」と「客観的把握」という言語ごとに異なる(と想定される)「好まれる事態把握」が持ちだされることが多いが、(滋賀大学経済学部・出原健一准教授との共同研究により)マンガ学における視点論を言語研究に援用し、「主観的把握」と「客観的把握」の精緻化を行った。 2.「新聞報道における言語使用と視点」という観点から、英語と日本語の無生物主語構文を再考した。日本語においては、無生物主語構文は好まれない表現方法であるとされてきたが、特定のジャンルにおいては多用されることを例証した。 3.ある行為を表す動詞が、意図された結果の達成までその意味範囲に含んでいるかいないかという「語彙的アスペクト」の諸問題に関して、英語と日本語の例外的に思われる用例を検討した。主体のダイナミックな認知プロセス、とりわけ、視点化と参照点構造に基づくメトニミという観点から分析する方法の妥当性を例証した。 4.英語の「結果志向」と日本語の「過程志向」を、それぞれ有界性と無界性という特徴から検討し、構文レベル(移動表現)・談話レベル(物語・新聞報道)・言語以外の文化的構築物レベル(映画・広告)で志向性の確認を行った。
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Research Products
(4 results)