2010 Fiscal Year Annual Research Report
オン・ゴーイング法とPAC分析法の活用による日本語教師の実践的思考の解明
Project/Area Number |
19529005
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
小澤 伊久美 国際基督教大学, 教養学部, 講師 (60296796)
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Keywords | 日本語教育 / 教師 / 実践的思考 / PAC分析 / ビリーフ / SEM(構造方程式モデリング) / プロトコル / 新人教師と経験教師の比較 |
Research Abstract |
今年度も引き続きPAC分析という手法について理解を深め、特にPAC分析におけるインタビューのありようとデータとの関係性を整理し、本研究におけるインタビュー・データの解釈・分析・記述のあり方を検討した。その成果の一部はPAC分析学会大会で公開したが、PAC分析研究においてこの点について取り組んだ研究はこれまでなく、今後PAC分析を活用する研究者やPAC分析研究を参照する者にとって有益な情報となると思われる。来年度も口頭発表や論文として公開していく予定である。 一方、本調査を実施した質問紙調査については、今年度は構造方程式モデリング(SEM)を活用して分析を進める前段階として因子分析に取り組んだ。その成果は来年度に日本語教育の研究会や論文誌などで公開していく予定であるが、大学で勤務する現職日本語教師に対する質問紙調査としては規模の大きな部類に入り、母集団全体の様相を推測する上で貴重なデータになることが予想される。また、同じ質問紙を用いた他集団の分析結果との比較分析の可能性を拓いたと言える。 質的調査については、今年度は経験教師1名と新人教師4名のデータを採取した。本研究開始時点では経験・新人教師各5名に質的調査を実施する予定であったが、上述のように研究法の精査を続けた結果、質的調査の協力者選定では当初想定していた以上に制限を設ける必要があることが判明し、新人教師1名のデータを欠いたまま研究最終年度を終える結果となってしまった。なお、データ収集と分析には予想以上に時間がかかり、今年度は質的分析の成果を公開するまでに至らなかったが、今後分析を続け、順次成果を公開していく予定である。 最後に、本研究では最終年度を終えるまでに各種データを総合的に解釈・分析していき、研究方法についても有効性・妥当性を検証する予定であったが、それらは来年度に継続していくことになった。
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