2008 Fiscal Year Annual Research Report
英米法における時間(歴史)の要素の存在構造と現行法への示唆
Project/Area Number |
19530001
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 孝 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 教授 (10241506)
|
Keywords | ブラックストン / イングランド法釈義 / 法律辞典(law dictionay) / アメリカ合衆国憲法 / 反逆罪 / 法継受 |
Research Abstract |
1, 第一に, (1)〜(4)の作業を行った。 (1) ブラックストン著『イングランド法釈義』の本文中に無数にちりばめられている法律用語及び法概念を, その本文の文脈に即して抽出することで, 著者本人による解説付の「法律用語・法概念集」の機能を果たす基礎資料を,順次補充しながら作成する。 (2) 『釈義』に対する19, 20世紀の脚註・註釈書・実務手引書から,『イングランド法釈義』の行論上重要な引用先例に対して上記手引書等が付加する, 最近の「類似判例」を抽出し, 「引用判例の系譜」集を作成する。 (3) 代表的な法律事典(law dictionary)における参照・引用例を(1)(2)から抽出し, 一覧表化する。 (4) 英米におけるいわゆる重要判例の若干における, 参照・引用事例を(1)〜(3)から抽出し, 一覧表化する。 2, 第二に, 上の作業の成果を利用し, 『イングランド法釈義』が果たした現実の法に対する影響例を抽出する視点から, 「アメリカへのイギリス法の継受は、ブラックストン『イングランド法釈義』に負うところが大である」という, 従来の英米法学によって行われてきた言明を検証する論文の執筆に取り組み、発表した。 3, 第三に, 第二と同様の方法及び視点から, 『イングランド法釈義』が, アメリカ合衆国憲法中の「反逆罪条項」の成立および内容上の「法理」に大きくかかわっている事実と, 他面,当時のアメリカの政治状況によってもたらされた「実理」から, その法理が実務上, 特殊アメリカ的に変形された様相とを描き出し, 論文として発表した。
|