2008 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代警察機構の末端組織に関する研究-仙台藩を中心して-
Project/Area Number |
19530002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 正志 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 教授 (30113872)
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Keywords | 基礎法学 / 日本史 / 日本法制史 / 警察 / 目明し |
Research Abstract |
3ヶ年計画で行われる本研究の第2年度において実施した研究は、以下の通りである。 1 関係史料・文献の調査・収集 1) 仙台藩警察機構関係の史料・文献を、昨年に引き続き、主として東北大学附属図書館・東北大学大学院文学研究科東北文化研究室・宮城県図書館等を利用して調査・収集した。 (2) 江戸幕府(江戸・上方)及び名古屋等の諸藩警察機構関係の史料・文献を、主として国会図書館・矯正協会矯正図書館等を利用して調査・収集した。 2 収集史料の分析・検討 (1) 昨年度は、仙台藩の小人目付・同心・目明しがそれぞれ有する手先を中心に分析を加えたが、本年度は、もう1つの末端組織である被差別民を対象として検討した。被差別民の存在状況は、地域によって差異があるが、仙台藩において警察に携わった被差別民は、「乞食小屋主」「穢多」「癩人小屋主」の3身分であることが確認できた。 (2) このうち主たる警察力は「乞食小屋主」であり、彼等は目明しの支配を受けつつ、他領の「乞食小屋主」とも連携を有して広域的な活動を展開する性格をもっものであることが判明した。 3) 「穢多」は、その職業としては皮革製品の作成であるが、その一方で刑場での死刑執行を任されており、また処刑後に遺体を晒す際の番人なども勤める義務を有したことも明らかとなった。さらにあまり目立たないが、警察力としても利用されたことが史料より窺える 4) 「癩人小屋主」は死んだ牛馬の皮剥を職とするが、「乞食小屋主」とほとんど区別されずに警察活動の一翼を担っていたことが判明した。 3 未刊史料の筆耕 昨年に引き続き、関係未刊史料の筆耕を行い、報告に向けその準備を進めた。
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Research Products
(1 results)