2009 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代警察機構の末端組織に関する研究―仙台藩を中心として―
Project/Area Number |
19530002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 正志 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 教授 (30113872)
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Keywords | 基礎法学 / 日本 / 日本法制史 / 警察 / 目明し |
Research Abstract |
3ヶ年計画で行われた本研究の最終年度において実施した研究は、以下の通りである。 1関係史料・文献の補充調査 (1)仙台藩警察機構に関する史料・文献を、主として東北大学付属図書館・宮城図書館及び仙台市博物館を利用して補充的に調査した。 (2)江戸幕府及び諸藩の警察機構に関する史料・文献を、主として国会図書館を利用して補充的に調査した。 2収集史料の分析 (1)これまでに収集した史料等を総合的に分析し、仙台藩警察機構の末端組織の特質を、以下の通りまとめた。(1)幕府ではその使用が禁止されていた目明しが、仙台藩では公的に使用されており、警察業務の重要な一翼を担ったこと。(2)警察業務の中心たる小人目付・町同心・目明しのいずれもが、城下のみならず在方の警察活動た従事しており、江戸の町奉行所の与力・同心の活動がご府内に限られたことと大きな相違を示すこと。(3)この小人目付等の在方での活動を支えたのは、在方における彼らの手先であり、その性格は多くの場合侠客的存在であったこと。(4)従って、ことれら手先の使用をめぐり、在方風俗の悪化を懸念する郡奉行と、在方での円滑な警察活動を希望する町奉行・小人目付の間で、深刻な対立が存在したこと。(4)城下・在方双方における警察活動の重要な部分を担ったのは、「乞食小屋主」「癩人小屋主」等の被差別民であり、彼らの活動実態を警察機構に正確に位置づけることが重要であること。 (2)以上のような仙台藩警察機構の末端組織の特質を解明したうえで、それを江戸幕府の警察機構と比較した場合、これまでは主として江戸の町奉行所との比較がなされてきたが、むしろ在方でも活動した火付盗賊改や関東取締出役との比較検討が重要であることが判明した。 3研究成果の授業での利用 以上の研究成果を、平成21年度後期に開講した「日本法制史II」(2単位、テーマ:仙台藩刑事法概説)において利用し、聴講学生に講義した。
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