2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神保 文夫 Nagoya University, 大学院・法学研究科, 教授 (20162828)
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Keywords | 近世法 / 法曹 / 評定所留役 / 公事上聴 / 法実務 / 金沢藩 / 町奉行所 / 敵討 |
Research Abstract |
研究実施計画に従って、東京・京都をはじめ各地の図書館・史料館等に架蔵される未公刊史料を採訪調査するとともに、古書店等を通じて史料・文献類を購入し、江戸時代幕藩の法実務を担った法曹的吏員の制度とその活動実態をうかがうべき史料の蒐集に力を注いだ。採訪調査による未公刊史料の蒐集は、今年度は江戸幕府法関係史料に重点を置き、藩法関係史料は金沢藩・大野藩など若干の藩について調査するにとどまった。蒐集した史料は、筆写によるもの(釈文)が400字詰原稿用紙約210枚、電子複写約190枚、マイクロフィルムからの引伸印画約940枚、デジタルカメラ撮影約1020コマにのぼる。これらの蒐集史料の本格的な分析・検討作業は次年度以降行う予定であるが、これまでの整理の過程でも既にいくつかの新知見を得ている。主なものとして、(1)通常の吟味筋・出入筋の裁判のほか、将軍吉宗以降幕末まで行われた公事上聴について、評定所留役など法曹的吏員の関与の実態を明らかにし、講演「江戸時代の裁判制度」(平成20年1月26日)・「江戸時代の裁判実務」(同年2月9日)・「江戸時代の法と裁判」(同年3月15日)等の中でその一端を紹介した。(2)従来の金沢藩法研究では利用されることがなかった「公事場附役人勤方帳」等の史料により、同藩の裁判機構と法曹的吏員の制度やその活動実態を検討した。(3)従来現物の存在が知られていなかった江戸幕府北町奉行所備付けの「敵討帳」の写本を発見し、その全文を紹介すべく、二編の論考にまとめた(平成20年刊行予定)。
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Research Products
(1 results)