2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における民事訴訟法制の動態的分析-伝統的手続き法観念との相克・融合-
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19530005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三阪 佳弘 Osaka University, 高等司法研究科, 教授 (30219612)
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Keywords | 民事訴訟法 / 近代日本法史 / 近世日本法史 / 手続法観念 / 裁判所 / 民事手続 |
Research Abstract |
本研究の目的は、明治前期の民事手続き法から1890年民事訴訟法編纂、そしてそれが運用される明治~大正期を中心にして、西欧型民事訴訟法制と近世以来の伝統的手続き法観念、この両者がどのように相克・融合して、近代日本の民事訴訟法制の特徴を形づくっていったかを、判例・訴訟実務と立法作業との相互往復分析を通じて明らかにしようとすることである。こうした目的のためには、立法資料の分析と実務・判例の分析を重ね合わせることによって、伝統的手続き法観念と西欧型手続き法制との間の相克・融合が判例・法実務のなかでどのように展開し、それが立法作業のなかにどのように反映され、新たな制度形成・創出過程のなかでそれぞれがどう再定置されていくのかの分析が必要である。こうした観点で、1890年民事訴訟法の改正作業の関係史料、とくにその立法に深く影響を与えたテッヒョー、さらには最初に立法に関与したボアソナードなどの草案や意見書の分析をおこない、とくに、伝統的手続法観念との相克と融合を示す、訴訟係属前の訴状審査制度の採用、弁護士強制制度の不採用、当事者恒定主義の不採用、検察官の立会いで制度の採用、虚偽供述に対する制裁の無い本人尋問制度の採用といった点について検討を加えて研究の総括を行った。その結果については、現段階でまとめているところであり雑誌論文としての公表を予定している。なお、関連する研究発表として、後述民事事件に関する司法統計に関する研究を発表した。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] 第1章 フランスの司法統計2010
Author(s)
三阪佳弘
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Journal Title
『ヨーロッパの司法統計』(上巻 : 同I (フランス・イギリス)、下巻 : II (ドイツ・イタリア・日本) (東京大学社会科学研究所リサーチシリーズ))(佐藤岩夫編 (佐藤岩夫・波多野敏・三阪佳弘・高橋裕・小谷眞男・林真貴子)) 2010年
Pages: 18-44