2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇賀 克也 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90114397)
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Keywords | 法執行 / 実効性 / 課徴金 / 行政代執行 / 行政上の強制徴収 |
Research Abstract |
平成21年度は公文書管理における実効性確保の問題を中心に研究を行った。同年度においては、「公文書等の管理に関する法律」が制定されたので、同法の制定経緯、有識者会議最終報告の検討と国会における修正、同法の逐条解説、関係法律の改正、地方公共団体の課題についてまとめた『逐条解説公文書等の管理に関する法律』(第一法規、2009年)を刊行した。また、公文書管理法と自治体の対応については、特に力を入れて研究を行ったが、その成果が、「公文書管理法と自治体の対応について」(自治体法務navi31号2頁以下)、「公文書管理法の制定を受けた地方公共団体の対応」ジュリスト1393号26頁以下である。さらに、国立公文書館、神奈川県立公文書館の専門職員、内閣府公文書管理課の職員と公文書管理法の意義と課題について座談会を行った(宇賀克也ほか「座談会公文書管理法をめぐって」ジュリスト1393号4頁以下)。公文書管理法は、特にコンプライアンスの確保を重視しており、公文書管理の実効性は大幅に向上したものと思われる。 平成21年度には、独占禁止法の改正が行われ、課徴金制度が一層拡充された。すなわち、排除型私的独占に対する課徴金の導入、5類型の不公正な取引方法に対する課徴金の導入に加えて、カルテルの主導的役割を果たした事業者には課徴金が5割増となった。この改正により、課徴金の性格が、不当利得の剥奪にとどまらず制裁としての性格を持つことが明確になった。この点について、論文執筆中であり、平成22年5月、台湾で開催される学会で基調講演を行った後、論文を公刊する予定である。
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