2007 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける地方財政制度の比較法学的研究-国・地方関係の憲法規律の視角から
Project/Area Number |
19530023
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福家 俊朗 Nagoya University, 大学院・法学研究科, 教授 (40083315)
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Keywords | 東アジア / 地方財政制度 / 国・地方関係 / 地方自治 / 比較法研究 |
Research Abstract |
本年度は、まず、前年度からすでに開始していた予備的研究ともいいうべき研究の整理と検討視角および対象の確定作業を先行させ、次に、同時並行的に、研究課題にかかわり、現地調査およびヒアリング調査を行った。当初、主には、中国と台湾の地方自治制度および地方財政制度の現地調査およびヒアリング調査(いずれも資料等収集も兼ねる)を予定していたが、研究補助者を通した関係機関等との折衝の結果、韓国についても実施することができた。その代わり、ヒアリング調査先の韓国法制研究院において、研究課題にかかわる報告を研究員スタッフ(財政法部会)のために行った(研究発表参照)。 地方財政制度のあり方は、地方が自治的に担うのに相応しい事務・事業と担うべき事務・事業の「憲法規律(基本的人権保障のための統治機構の規律)」の究明によってしか(憲)法的には制度設計が不可能である、というのがこれまでの研究方法・視角であった。したがって、調査方法としては、この視角を具体的な共通のヒアリング調査項目として作成し、共通課題の把握に努めるとともに、各国の独自性や特色の把握を試みた。 調査結果の分析は現在進行中で結論を得るにいたっていないが、東アジア諸国における「地方自治」と地方財政制度のありかたが、中国や日本も含めて総じて人権水準の向上とそのための協同(共同)および相互援助の基盤形成に不可欠であることの一端を再発見している。とくに、日本よりさらに(人口と面積において)小規模な国家である台湾でも、このことへの立法府と国民の関心が高まっている。たとえば、イギリスに見られるブロック・グラントのような地方向けの一般補助金制度が民進党政府によって導入されていることは興味深く、国民党に取って代わられた政府がどう対応するのかを観察してゆきたい。
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