2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける地方財政制度の比較法学的研究-国・地方関係の憲法規律の視角から
Project/Area Number |
19530023
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
福家 俊朗 Chubu University, 全学共通教育室, 教授 (40083315)
|
Keywords | 東アジア / 地方財政制度 / 国・地方関係 / 地方自治 / 比較法研究 |
Research Abstract |
(1)本年度は、主要には、昨年度に行った中国、台湾および韓国の地方自治制度および地方財政制度の現地調査およびヒアリング調査の結果の分析作業を行った。くり返し言及してきたが、地方財政制度のあり方は、地方が自治的に担うのに相応しい事務・事業と担うべき事務・事業の「憲法規律(基本的人権保障のための統治機構の規律)」の究明によってしか(憲)法的には制度設計が不可能である、というのがこれまでの研究方法・視角であった。共通の課題を持つこれらの近隣東アジア諸国における地方財政制度の、「国・地方関係の憲法規律の視角から」する分析と比較研究を継続した。 (2)昨年度の中国での現地調査およびヒアリング調査は、北京および上海で実施したものであり、都市部の地方政府を対象にした。中国の現況を見れば理解できるように、改革開放政策の展開によって都市部と農村部の間には、住民の所得および地方政府の財政規模でも目に見える格差がある。また、単一国家における地方自治制度を採る日本、韓国および台湾と異なり、中国は人口や面積の点で連邦国家に近い。そのために、本年度は中国の農村部の地方政府の現地調査およびヒアリング調査を計画し、調査対象地域の候補として、南部の四川省成都または雲南省昆明を予定したが、いわゆる四川大地震のため調査の条件が整わなかったので断念した。最終年度の21年度に実施したい。 (3)なお、平成19年度の実績報告書にも記載したが、韓国では大統領が交代し、また、台湾では民進党から国民党への政権交代が実現した。そのため、地方財政制度のありうる改革の「動向」や「理論状況」について、追加的なヒアリング調査、および、新たに研究者や実務家(主に行政裁判所や憲法裁判所の裁判官)と、予め送付した課題にかかわるアンケートを基に意見交換を両国で実施した。
|