2008 Fiscal Year Annual Research Report
欧米憲法理論のアジアへの導入とその展開-日本・台湾憲法学の比較憲法的研究
Project/Area Number |
19530030
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
今関 源成 Waseda University, 法学学術院, 教授 (90147942)
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Keywords | 公法学 / 憲法 / 比較法 / 台湾憲法 / 比較憲法 |
Research Abstract |
2008年度末には東京に台湾側の研究者を招き、共同研究会を開催したが、今回は日本側が台湾に赴き、2009年3月28日、国立台湾大学法律学院(台北・台湾)において共同研究会を行った。日本側参加者は今関源成(早稲田大学)、戸波江二(同)、岡田信弘(北海道大学)、小山剛(慶応大学)、石川健治(東京大学)、鈴木秀美(大阪大学)、松平徳仁(一橋大学・通訳)、松井直之(比較法研究所助手)の8名であった。 共同研究会のプログラムは、次のとおりである。 蔡明誠(台湾大学法律学院院長)挨拶 翁岳生(前司法院院長)司法権の継受と発展-台湾と日本の比較 小山剛(慶応大学)自由と安全 李建良(中央研究院)社会国家原理の実践と基本権の保障-社会立法の違憲審査を中心として 林超駿(国立台湾大学)大法官による憲法解釈の機能の限界 岡田信弘(北海道大学)政権交代と議会制民主主義 葉俊英・張文貞(国立台湾大学)東アジア立憲主義の成立 今回の研究会においても、日本と台湾の憲法状況の相違、およびアメリカ、ドイツの影響を受けた理論的準拠枠の共通性などを確認するとともに、台湾、韓国、日本をモデルとしてヨーロッパ出自の「普遍的立憲主義」とは異なる「東アジア立憲主義」が成立するのではないかという刺激的な問題提起もなされ、台湾の憲法研究者と有意義な意見交換ができたと考えている。 台湾と日本のあいだには共通の課題が存在しており、比較憲法学的な研究の可能性と必要性について、改めて再確認する機会となった。台湾の研究者からは、台湾の憲法、憲法学の現状について日本の研究者にもっと知ってほしいという希望が表明された。 2005年度から日本と台湾において交互に4回の共同研究会を開催してきたが、これらの研究会の報告をまとめ、書籍として刊行する予定である。
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