2008 Fiscal Year Annual Research Report
個人保護型行政警察立法を契機とする、警察法論再構築のための比較法的実証的研究
Project/Area Number |
19530031
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
今村 哲也 Kanto Gakuin University, 法学部, 教授 (00160060)
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Keywords | オーストリア / ドイツ / 警察法 / 連邦主義 / 共和主義 / 治安機能に関するパートナーシップ / 警備業 |
Research Abstract |
昨年度につづき、EUレベルでの治安課題の検討として、目国でのヨーロッパカップ開催への治安対策として行われた法改正とその施行に関する「安全警察法改正検証フォーラム」(オーストリア・ザルツブルク大学法学部)への参加は有意義であった(08年9月出張分)。なお、共和主義的統一法典である安全警察法の法システムを可能とする歴史的背景について、「共和主義警察史」の論考を発表した(08年11月)。ただし共和主義的背景は理解できるもののその現代的憲法的基礎には民主的アクターによる担保が必須の条件でありこの意味で、オーストリア治安法を公法システム全体の中で位置づける論考を発表した(09年3月)。 他方、連邦主義をとるドイツにあっては、EU-基本法-ラント憲法-連邦統一警察法草案-ラント警察組織法といった形でのシスラム構築がなされ、さらに危険管理の民間委託のシステム構築も展開していることをあらためて確認した(09年2月出張分)。この過程で、強力な治安権限の統合を図りこれへの補完機能としての民間警備業を位置づけるオーストリアとは、別に有効な公行政管理ないし執行のパートナーとして警備業を位置づけるドイツ法制の特長も明確となった。この背景には、ドイツ流の行政機能論的法執行への自覚の高まりがある。この点、わが国で長期にわたりシュパイヤー行政大学院に留学経験を有する北海学園大学大西教授に「有効性施行型行政執行(NPM)」についての近時の理論展開を直接拝聴し意見交換する機会を設けた(09年3月)。なお、国内での法制展開として、わが国あっては銃刀法改正がおこなわれ公安委員会への市民個人からの問い合わせ制度が新設されている。銃刀所持者以外の一般人への配慮=個人保護配慮性)が高められている。この点についても立法に携わった警察実務家の講演会に参加した(東京・警察政策フォーラム出張)。
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Research Products
(2 results)