2007 Fiscal Year Annual Research Report
国際環境法における法制度の執行過程の多様化と複雑化に関する研究
Project/Area Number |
19530038
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
児矢野 マリ University of Shizuoka, 国際関係学部, 准教授 (90212753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 ゆかり 龍谷大学, 法学部, 教授 (70303518)
伊藤 一頼 静岡県立大学, 国際関係学部, 専任講師 (00405143)
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Keywords | 国際法学 / 国際環境法 / 執行 / 環境条約 / 持続可能な開発 / 地球温暖化 / 世界貿易機関(WTO) / 国際法規範間の重複・抵触 |
Research Abstract |
本研究の目的は、環境保全に関する国際法制度の執行過程の多様化・複雑化に伴い生じている諸問題への対応をめざして、それら多様化し複雑化している法制度の執行過程全体の構造・要因及び個別制度の執行の動態の実証分析を行い、このような執行過程を国際環境法において統合的に位置づけることである。そのための基礎的な作業として、初年度である本年度は、関連文献・資料の収集、共通の視角・分析枠組の構築(大まかな論点抽出と共通了解を中心とする)、各自の分担による実証分析と相互検証作業を進めた。その過程で3回(4月、9月、3月)の会合を開くとともに、海外での実態調査(7月、3月)や関連シンポジウムで来日した外国の研究者との交流(11月)等も活発に行った。 具体的な内容としては、国際環境法の担当者は主に、(1)制度の複合化に伴う国際法規範間の重複・抵触とその調整(児矢野による「ダニューブ・デルタ事件」の分析)、(2)環境条約の国内実施における国内制度の調整(研究協力者<海上保安大学校専任講師鶴田順氏>の支援による、廃棄物の越境移動問題としての「青島事件」の分析及び海洋環境の保全に関する条約の国内実施法制の分析)、(3)執行手段の多様化(高村による大気・気候系の保全<地球温暖化>レジームの分析)に従事した。開発に関する国際法・国際経済法の担当者(伊藤)は、環境保全と経済開発・貿易との相克関係の調整として、近年多くの国際機関が重要視する「良き統治(good governance)」概念の国際法上の意義を分析し、とくに「持続可能な開発」概念が途上国における環境保護関連の法制度・行政機構の整備(すなわち国際環境法の執行過程)に与えている影響につき検討した。本研究の論点は多岐に及び、かつ分析対象も極めて広いことから、上記の作業は方法論も手探りによる試行的なものであったが、論点抽出と枠組構築という面では独創的なかなりの成果を上げることができた。次年度以降は、その成果に基づく精緻な実証分析とより活発な議論を蓄積して、全体として統合性の高い成果を上げたいと考えている。
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