2008 Fiscal Year Annual Research Report
次世代育成支援策としての「孫育児をする祖父母の支援」に関する比較法研究
Project/Area Number |
19530051
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
増田 幸弘 Japan Women's University, 人間社会学部, 准教授 (40264171)
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Keywords | 祖父母 / 孫育児 |
Research Abstract |
今年度は昨年度に引き続き、国内外の文献・政策文書・統計資料等の収集と分析を行った。また、研究の取りまとめに向けての作業や情報発信(学会等での報告、川崎市教育委員会・大学等高等教育機関連携事業による公開講座)を行なった。本研究の意義は、祖父母による孫育児の問題について、わが国ではまだほとんどなされていない、政策や法律の観点からの分析や検討を行った点にある。 研究の成果の具体的内容は次の通りである。(1)研究動向:英国・アイルランド・オーストラリアの諸国では、1990年代後半以降、公的機関等が祖父母によるインフォーマル・ケアについての調査・研究が行われてきた。孫の保育の問題とともに、孫の監護教育の問題も多く取り上げられている。わが国でもこの数年、孫の保育の問題を中心に関心が高まりつつある。(2)わが国の状況:保育所の利用申請の場面で祖父母による保育ニーズの充足を前提としつつ、具体的な保育の提供については子の親と祖父母との準委任契約に委ねている。孫の保育それ自体を対象とするとする社会保障給付や税制上の優遇措置、育児休業の取得等は法定されていない。公平の観点から何らかの公的支援が提供されても良い。(3)諸外国の状況:この点について諸外国の事例が参考となる。英国では祖父母がチャイルド・マインダーとして公的機関に登録されることにより、就労タックス・クレジットの対象となる制度がある。シンガポールでは2005課税年度より祖父母による孫の保育に対する税制上の優遇措置(祖父母控除)が導入されている。オーストラリアでは2007年11月に自由党・国民党連立政権の下、祖父母休業制度のプランが示された。ただし、実現には至っていない。 今後の検討課題として、孫の監護教育についての検討と、これまで曖昧にされてきがちであった子-親-祖父母の権利義務関係を可視化することの意義と限界についての検討をあげることができる。
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Research Products
(4 results)