2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19530057
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊東 研祐 Keio University, 法務研究科, 教授 (00107492)
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Keywords | 経済刑法 / 法益 / 法益概念史 / 競争法 / EU経済刑法 / Corpus Juris 2000 |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者が単独で3年にわたって実施する図書資料・公刊情報を利用した研究である。本年度は、その第1年度であり、研究実施計画に従い、以下の2系列の研究活動を実施した。1)本研究の第1段階の目標は、経済刑法領域における不法実体を補足する道具概念としての「法益」の妥当性の概念史的検討と、それに基づく再定義であるが、それを、研究代表者による80年代初頭までの法益概念史研究を現在まで補完する形で試みた。学説史の補完という形では、法益概念がドイツ語圏刑法学を超えて急速な影響を及ぼし始めた為、残念ながら、なお完成を目指して鋭意努力する必要のある段階に止まるが、法益概念が不法実体一般を捉える一般的概念としては限界を有するものの、経済刑法における不法実体はほぼ捕捉し得ることは確認された。次年度以降における概念史研究の論文化を急ぎたい。2)法益概念史の補完・道具概念としての能力の検討と並行的に、EU経済刑法の研究動向を、ドイツ・イギリスにおける競争法を中心に、広く追った。Corpus Juris 2000の研究・分析は、ドイツ・イギリスにおける競争法の研究の限度では遂行し得たが、成立後の著しい展開・変化という事情もあって、本格的な着手には至ることができなかった。ドイツ・イギリスにおける競争法・経済事犯の研究を更に推進しつつ、次年度に実施する海外調査等でコンタクトを予定する外国人研究者に研究視座に関する示唆を仰ぎ、研究・分析の立直しを図ることとしたい。地域経済刑法における法益の捉え方や保護手法に関して得られた知見は、法益概念史研究補完への組み込みを行う予定である。
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